25歳の僕の歩み

このブログは、私が25歳の時にmixiに書いた日記を改めて読み返し、多少加筆訂正したものです。ご一読頂ければ幸いです。 南無阿弥陀仏

合唱との向き合い -ソロとセカンド-

2011, 5, 23

 

今回は、僕が龍谷大学編入して2年間関わらせてもらった「合唱」について書いてみたいと思います。日記の題は、「合唱との出会い」ではなく、「向き合い」です。それはなぜかというと、僕の合唱との出会いは、龍大に入学してからすぐだったけど、今思い返してみても、本当に合唱と向き合ったのは、ずっと後になってからの事だったなぁと思うからです。

 

僕が合唱と向き合ったのは、最後の定期演奏会(12月)へ向けての練習が本格的に始まり出した10月ごろだったと思います。僕は編入龍大に3回生の状態で入学して、それからラポール(僕が所属していた龍大混声合唱団)に入ったので、かなり特殊な入り方をしたんじゃないかなぁと思います。本来なら、3回生は幹部回生といって、幹事長や各仕事のリーダー、また指揮者やパートリーダーなど、ラポールの主要な仕事に就く回生です。だけど、僕は3回生から入ったので、そのような仕事をすることもありませんでした。(幻の活動委員長だけはやらせていただきましたが)

 

また、合唱自体も経験があったわけではなかったので、3回生だけど、その時に一緒に入ってきた1回生のメンバーと一緒に一から学ばせていただきました。合唱の練習は、楽しかったこともあるし、苦しかったこともあるし、うれしかったこともあるし、難しくてよくわらなかったこともたくさんあります。だけど、合唱はみんなで歌うものだし、勉強の方も大変だったので、その時はその時で、一生懸命がんばっていたつもりではあるけれど、今思うと、気持ち的になぁなぁな部分もかなりありました。(文章で書くと、「なあなあ」って言葉、かなり変に感じますね。)

だけど、そんな僕が合唱に真正面から向き合うことになりました。その最大の要因は、「ソロ」と「セカンド」です。上にも書いたように、定演の練習が本格的に始まり出した10月ごろ、僕はソロ(一人で歌うこと)をやることになりました。ソロをやることは、とてもわくわくして、嬉しいことでもありましたが、同時に、当たり前の事ですが、ソロは今までの「合唱はみんなで歌う」ということが全く通用ない、「僕が一人で歌わなければならない」ということになるので、大変だなぁとも思いました。

その大変さは、練習が進むにつれて、いよいよ明らかになっていきました。練習をしてみて、ようやく僕は、「しまった!」と思いました。

 

「ソロ、やばいかも…。」

 

その思いは、実際に練習をしてみて、初めて感じたことでした。そして、もう後戻りはできません。僕は正直なところ、

 

「しまった!なんでソロなんかやることにしたんだろう。」

とか、

 

「あぁ、しんどい。わからん。もうやめたい。」

 

と何度も何度も思いました。

 

「だけど、やるしかない…。」

 

僕は、合唱に「向き合った」というよりも、むしろ、ソロのせいで合唱に「向き合わされた」のでした。

 

また、問題はソロだけではありませんでした。僕の時の最後の定演の曲の中には、テノールのセカンドだけのパートが多く在りました。(混声合唱では、女声がソプラノ・アルトを担当し、男声がテノール・ベースを担当します。そして、曲によって各パートはさらに二つずつに分けられ、テノールはトップとセカンドに別れます。)(定演の曲目には、「川よ とわに美しく」や「風の満ちる日」などがありました。)

僕がラポールにいたころは、テノールは人数が少なく、またそれが半分に別れる。僕はセカンドだったのですが、一応上回生として、なんとか踏ん張らなくてはならない立場にありました。(本来なら、上回生・下回生関係なく、みんなで声を出していくものだとは思いますが。)だから、そこでも僕は、合唱と向き合わざるをえない状況になっていました。

そこまで追い詰められて、僕はようやく、自分にできる練習というのを本気で模索しながらやり始めました。

 

だけど、練習したらといって単純にうまくなってくれるわけでもなく、むしろわかってくるのは、「このままでは、まずい!」という現実でした。でも、それすらも今までは見えていなかった。今思うと、この「まずい!」ということは、僕にとって、とても大切な気づきだったなぁと思います。

それに、本気で練習をし始めてみて感じたのは、苦しさばかりではありませんでした。やっぱり、少しずつだけど、今まで知らなかったことがわかってくるし、できることも、少しずつ増えていきました。そのことは、本当にうれしかったし、ほんの少しだけ、僕に自信をつけてくれました。

それに、いろいろやってみて気づいたのは、今まで自分にはできないと思っていたことが、やってみると案外に出来ることもあるなぁということでした。そのことも、僕にとっては、とてもうれしいことでした。

 

そんなこんなで、僕は最後の定期演奏会をむかえることが出来ました。あれからもう、1年半の月日が経とうとしていますが、今思うことは、

 

「合唱と向き合わせてもらってよかったなぁ。」

 

ということです。

向き合ってる最中は、それどころではないので、なかなかそんなことなんて思いもしませんでしたが、今は、素直にそう思えている自分がいます。あそこで合唱に向き合わせてもらって、よかった。

それに、やっぱ歌を歌うのって、いいなぁ。楽しいことだなぁと、今あらためて思います。

 

4人のソロ、そしてそこに主人公とヒロインが加わり、さらには後ろに控えるみんなが加わり大団円をむかえる「Candide」の「Make our Garden Grow」。

 

たくさんのソロが出て、そこへソリや後ろのみんながそれぞれに加わっていくとってもにぎやかな「Don Carlo」。

 

やっぱり本番も、セカンドがうまく出れたのかかなり怪しい「風の満ちる日」。

 

思わず涙が流れた「川よ とわに美しく」。

 

他にもいろいろあるけど、歌うことは素敵なことだなぁと思います。そして、そのことをいま・ここで素直に感じることができることを、嬉しく思います。